お彼岸になると、スーパーや和菓子屋さんでよく「ぼたもち」と「おはぎ」を見かけるようになりますよね。
どちらも、もち米とうるち米を混ぜて炊いたものを丸め、あんこやきなこで包んだ和菓子ですが、この二つ、どう違うのでしょうか?
先日、お店でおはぎを買おうとしたら「ぼたもち」との名前で販売しており、モヤっとしていた疑問がさらにモヤモヤっとしてしまいました。
春はぼたもちで秋はおはぎ?そんな説もよく聞きますね。今回は、ぼたもちとおはぎの違いと、お彼岸との関係についてわかりやすくご紹介します。
【お彼岸】春はぼたもち秋はおはぎ?
実はおはぎとぼた餅はどちらも、もち米と小豆が原料の和菓子です。お彼岸のお供えとしてもこの2つが使われるのですが、材料も同じなのに何か明確な違いがあるのでしょうか?
調査しているといろんな伝説があったのですが、食べる季節によって呼び方が変わるという説がかなり有力でした。
-
春のお彼岸(春分の日を中心とした前後7日間)
→ ぼたもち(牡丹餅)
春に咲く大きな「牡丹」の花にちなんだ呼び方。 -
秋のお彼岸(秋分の日を中心とした前後7日間)
→ おはぎ(御萩)
秋に咲く「萩」の花にちなんだ呼び方。
小豆には邪気を払う力があると信じられてきました。ご先祖様に感謝・供養するお彼岸の時にはあんこを使ったお供物をするようになり、食べることでご先祖様との繋がりを大切にしていたのですね。
春はぼたもち、秋はおはぎ。季節による花にちなむことで、その花に似せて少し形も変えていたということです。
- ぼたもち→牡丹の花みたいに大きくて丸い
- おはぎ→萩の花のように小ぶりな楕円形
芸が細かい感じがして、私的にはよりご先祖様を大切にしている感じが伝わってきちゃいました。
季節によって呼び方が違う説は説明を聞いたらかなり納得いくものでした。そして一般的な説でした。
ただ・・色々調べていると、おはぎとぼたもちはモノ自体違うという説も見つけることができました。
他の説も紹介したいと思います!
作り方の違い説
確かに!と思える説はこちら。「あんことお餅の加工の違い」でどう呼ぶかの名前が違うという説です。
- おはぎ→粒あん・もち米の粒が残る餅
- ぼた餅→こしあん・粒が残らないお餅
これ見たら納得!という人も結構いるかも?
つぶつぶ感のある、豆粒が残った感じのあんこがおはぎ。粒のないさらつる感のある方がぼた餅。
おはぎが粒あんな理由は、秋に収穫されたばかりの小豆は皮が柔らかくて粒あんにしやすかったから。
ぼたもちがこしあんな理由は、春は小豆の皮が固くなるために、裏ごししてこしあんにしたから。
今よりも昔の方が保存技術がない分、素材の季節による違いで作り方を変えていたってこと、大いにあり得ますよね。
地域での呼び方の違い説
地域によって違った呼び方をする・・これは「おはぎ」と「ぼたもち」に限らずあることですね。
- 関東→ぼたもちが多い
- 関西→おはぎが多い
私は関西なので、実はぼたもちと言っておはぎが出てくることに多少の違和感があります。おはぎの方が馴染みがあるんです。
なのでこの説は納得・・。ただ、関東の方が実際にどう感じるのかがわからないことや、お餅のつき具合や粒あんかこしあんかという細かい部分はどうなる?好みの問題?という疑問が残ってしまいます。
とはいえ、どちらの呼び方の方が馴染みがあるか、という地域差はよくある話。これも有力じゃないか?と思いました。
材料のお米の割合違い
- ぼたもち → もち米100% or もち米が多め(もちもちした食感)
- おはぎ → もち米とうるち米を混ぜる(やや柔らかめの食感)
作るときのお餅用の米の割合違いにより呼び方が違うのではないか、という説もありました。
上記の割合の感じで言うと、ぼたもちはお餅っぽい感じ、おはぎはご飯っぽい感じの食感と想像できます。
今ではおはぎもぼたもちもお店で買うことが多いですが、昔は基本的にお家で作るものだったと思います。
そう考えると、使用したお米の違いも知っているはずなので名前を変えていた事実もあるかもしれませんね。
大きさの違い
大きさの違いで呼び名が違うのではないか、という説もありました。
おはぎの語源となっている「萩」が小さい花、牡丹は大きく丸い花をつけることで、小さい方が「おはぎ」だという説です。
大きさの感覚って人それぞれで、家庭によっても様々だったと思うので、実際には大きさによる違いで呼び名を変えるのはなかなか難しいのではないか?と思ったりします。
おはぎとぼた餅の名前の由来
おはぎ、ぼたもちの名前の由来がそれぞれ萩の花と牡丹からきていることはよく知られていることですが、もう少し詳しく追ってみました。
おはぎの名前の由来
おはぎという名前の由来は秋の花「萩」からきたものです。「萩」は秋の七草の一つ。
小さくてかわいらしい花が咲き乱れている様子をイメージして作られたのが「おはぎ」です。小さい花がたくさんある様子=おはぎのつぶつぶ?そう想像すれば納得な気がします。
言葉の変化としてはこんな感じです。 萩の餅→萩餅→おはぎもち→おはぎ
「萩」が秋の花ということ、小豆の収穫時期が秋なので主に秋のお彼岸にお供えされるのがおはぎとなったんです。
ぼたもちの名前の由来
ぼたもちという名前の由来は、春の花「牡丹」からきたもの。
言葉の変化としては・・「牡丹」→「牡丹餅」→「ぼたもち」です。
ぼたもちがぼってりした感じに見えるから、という説もあるにはあるのですが、先ほどのおはぎの語源と同じように花つながりでいくと春の花牡丹から変化したと考えるのが自然じゃないでしょうか。
春の花が由来のぼた餅だから、春のお彼岸のお供えにはぼた餅が使われるようになったというわけなんですね。
どの説も一理ある、と思いましたし、「おはぎもぼたもちも、どっちだからこう!」という明確なルールはないと言うこともわかりました。
実際は作り手・売り出し側による呼び方の違いや、家庭や地域差などで違いがあり、それはそれで面白いなと思います。
そんなうんちくも含めて、お彼岸にはご先祖様に感謝してぼたもち、おはぎを楽しみましょう!
