うちの夫、甚平が本当によく似合うタイプです。夏になると当たり前のように甚平を着ていて、私から見てもしっくりきています。
そういえば、前は雪駄も持っていました。気に入って履いていたのですが、だいぶ汚れてしまって、結局処分してしまったんです。
甚平も似合うし、雪駄も好きだったなら、いっそ着物にも挑戦してみたら?という話になりました。とはいえ夫は着物を実際に着たことは一度もありません。まずは形から、ということで、履物について調べてみることにしました。下駄・草履・雪駄、それぞれ何が違うのか、実はちゃんと理解できていなかったんです。
男性着物の履物は靴ではなく基本は下駄・草履・雪駄
男性の和装には3パターンの履物があります。下駄・草履・雪駄(せった)です。それぞれの違いは素材や形状にあります。
- 下駄:素材は木製、底には2本の突起がある
- 草履:素材はイグサ・藁・コルク・竹・合皮など、底は平面の畳表
- 雪駄(せった):素材は草履と同じくイグサ・藁・コルク・竹・合皮など、底は平面で牛革、かかと部分に金具
雪駄は草履の一種で、草履との違いは畳表の裏底に牛革が貼られ、かかと部分に金属が打ってあること。表地と裏地の間に一枚芯が入れてあるのも特徴です。
うちにあった雪駄も、たしかにかかとのあたりにカツッとした感触があったのを思い出しました。あれは金具だったんですね。
男性着物でシーンごとに適した履物はどれ?
履物にはそれぞれ着用シーンがあります。基本は、浴衣に合わせるのが下駄、着物に合わせるのが草履および雪駄です。
カジュアルな場には下駄がちょうどよく、フォーマルな場には草履と雪駄が適しています。和装の履物には格式があり、下駄が格下、草履が格上とされています。
- カジュアルシーン:下駄(例:夏祭りや花火大会などレジャーを浴衣で楽しむとき)
- フォーマルシーン:草履または雪駄(例:冠婚葬祭などの厳粛な場に着物で赴くとき、普段用としても◎)
ちなみに着物の世界では、草履は女性が履くもの、雪駄は男性が履くものとされています。近年では女性用の雪駄も市場に出回っていますが、正式な装いとはみなされていないそうです。なので、うちの夫が雪駄を持っていたのは、ちゃんと男性らしい選び方だったということになりますね。
草履と雪駄の違いとは?
草履は名前の通り、素材の多くは草でできていて特殊な加工はほとんどされていません。履き心地が良く、昔から多くの人に親しまれてきました。
ただし草履には機能性に難点があります。冬場に雪の上を歩くと水が染み込んで濡れてしまうのです。木製の下駄なら雪道でも水の侵入は防げますが、底の突出した部分に雪が詰まって歩きづらくなってしまいます。
そこで考案されたのが雪駄です。草履の底を牛革にして防水加工を施したもの。つまり雪駄とは、防水加工の施された草履だと言うことができます。草履が広義の意味で、雪駄はその中の小カテゴリという位置づけです。
雪駄のかかと付近には鋲や後金と呼ばれる金具がついていて、歩いた時にカツカツと音が鳴るようになっています。この音は雪駄の「粋」とされているそうです。金具にも馬蹄やテクタといった種類があり、雪駄のグレードによってかかとの金具も変わるとのこと。安価なものは片足2個打ちが主流で、少し良いものになると3〜4個に増えていくそうです。
着物姿が様になる履物の正しい履き方
下駄や草履、雪駄は、かかとを1cmくらいはみ出すのがかっこいい履き方とされています。購入するときは自分の足よりも少し小さめのサイズを選ぶのがポイントです。
小さめサイズを選ぶと小指が外へと少しはみ出てしまいますが、それもまた正しい状態なのだそうです。次に雪駄を選ぶときは、サイズ選びで失敗しないようにこれは覚えておきたいポイントです。
冬場は足元が冷えるため、足袋を着用するのもおすすめ。防寒対策には靴下と足袋の重ね履きが良いようで、5本指の靴下を履いてその上から足袋を履くと、暖かさが段違いだそうです。
鼻緒の形は太めの方が歩きやすく、足の甲を傷めずに済みます。足と鼻緒をギュウギュウに詰めてしまうと鼻緒ズレを起こしやすくなるので、足はあまり奥まで入れすぎず、鼻緒との間に少し隙間を空けるようにするのがコツです。
それでも鼻緒が苦手という人もいるようで、その場合はブーツを合わせるという選択肢もあるようです。
着物にブーツで和モダンコーデの出来上がり
どうしても着物に靴を合わせたいなら、「着物×ブーツ」のコーディネートも一つの手です。
寒い地域では成人式などで着物にブーツを着用することも多く、明治時代や大正時代には和洋折衷文化として和装にブーツを合わせる服装が流行していた時期もあったそうです。明治維新の立役者である坂本龍馬も、袴の下にブーツを履いていたと言われています。
慣れない草履で歩き回るよりブーツの方が活動しやすい、着物と履物の組み合わせ以外のコーデにも挑戦したい、という方には、着物にブーツを組み合わせてみるのも良さそうです。
ただ、伝統的な着物文化を重んじる方の中には「着物にブーツを合わせるなんて」という考え方の人も多いようなので、正装が求められるシーンでの足元は、やはり履物にしておいた方が無難かもしれません。カジュアルな場なら和モダンに、フォーマルな場では伝統を重んじた履物を、と場面で使い分けるのが良さそうです。
編集後記
甚平が似合う夫を見て「着物もいけるんじゃない?」と思いついたところから始まった今回の調査でしたが、下駄・草履・雪駄、それぞれにちゃんとした意味と役割があることがわかりました。
前に持っていた雪駄も、こうして調べてみると、ちゃんと男性向けの正しい選択だったんだなと今さらながら思います。今度買うときは、かかとの出し方やサイズ選びも意識して選んでみようと思います。
まだ着物には挑戦できていませんが、履物の知識だけは先に仕入れられたので、あとは本番を待つのみです。実際に着物デビューしたら、またこの記事に追記しますね。

